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がミッドガル北部沿岸で大暴れしてから約半年。 世が慌ただしく災害の復興に勤しむ中、とセフィロスも夏野菜の収穫に追われていた。 Illusion sand ある未来の物語 131話 数年畑仕事から離れていたからだろうか、その忙しさに、は少しだけ振り回されながら、懐かしさを感じる。 北の地より気温が高いため、作業で流れる汗が少し多いが、苦になるほどではない。 同じ気持ちでいてくれたら、少しだけ嬉しいと思いながら、は顔の汗をタオルで拭うと畑を見回してセフィロスの姿を探す。 けれど、同じタイミングで畑に出て、それぞれ別の野菜を収穫していたのだが、皮を$525Dいて籠に積んだとうもろこしはあるのに、彼の姿がどこにもない。 「また椎茸の方か……?」 僅かに眉をひそめながら、は小さくため息をついた。 町にある農業資材屋で椎茸の原木栽培セットを手に入れてから、セフィロスはすっかりそれに夢中だ。 畑の端にある、山との堺になっている林は、風通しも陽の陰りも、椎茸栽培に丁度良かったらしく、面白いくらいキノコが育つ。 昔、北の牧場で働いたときにも少し世話をしていたそうで、セフィロスは戸惑うことなく林に菌がついた木を持ち込んで栽培を始めた。 「できれば1種類だけじゃなく、他のキノコも作ってほしいんだがな……」 植物ではなく菌が相手なので、色々と勝手は違うだろう。 簡単に言わないほうがいいのは間違いないと思いながら、もで畑の隅に植えた柚子と檸檬、それに葡萄の木の様子を見に行く。 その途中に植えてあるメロンやパッションフルーツは、朝に収穫済みだ。 果樹の様子を一通り確認し終えたは、セフィロスが置いて行ったとうもろこしの籠を拾うと、彼がいる林の方を見る。 菌床は林の浅い場所に置いてあるので、彼が作業している背中が木々の間から見えた。 「とうもろこしを取って放置はやめてもらいたいな……」 鮮度と甘みが比例する野菜を放置するのはどうかと内心呟くと、は足早に家へ向かう。 日除けの上着と帽子を脱いで台所に入ると、最近毎日のように使っている大鍋を出して水を張った。 竈に火を入れ、熱が籠もらないよう家の窓を開けて回っていると、畑に戻ってきたセフィロスが何かを探してキョロキョロしているのが見える。 多分、とうもろこしの籠を探しているのだろう。 声をかけなくても、すぐにが持って行ったと気づきそうなので、彼女は気にせず台所に戻ると、竈に薪を足した。 午前11時丁度に家の上を低空で飛ぶヘリが行くと、セフィロスが家に戻ってきた。 家の中に漂うとうもろこしの甘い香りに、少しだけげんなりした彼を横目に見ながら、は包丁で芯から実をそぎ落としては魔法で凍らせていく。 「、どれだけ凍らせるつもりだ?」 「食べきれない分は、すべて凍らせますよ?寒くなってきたら、コーンスープにして消化できますから」 「……そうか。少し早いが、昼にしたい。大丈夫か?」 「うーん、すぐには無理ですね。朝にとった果物がそこにありますから、適当につまんで待っていていただけますか?」 「これだけで腹が膨れそうな量だな……」 「それも午後から瓶詰めにしたり凍らせたりしますから、大丈夫です」 苦笑いしながら包丁を動かすに、セフィロスは小さく頷くものの、ソファに腰を下ろすと朝に剃り忘れた髭を撫でながら考える。 ただでさえ小さな家の棚や冷蔵庫は、毎日増える保存食が詰め込まれていて、畑には明日の収穫を待つ野菜や秋の野菜が青々とした葉を広げていた。 「……久しぶりの畑で、少し色々と作りすぎたな……」 「4年ぶりですから……仕方がありませんよ。来年から気を付けましょう」 「来年か……まだこの世界にいると思うか?」 「さあ、どうでしょう。騒ぎが終わった後で、貴方がもう少しこの世界に居たいと思ったなら……」 「それはない」 「ふふっ……そんなにハッキリ言わなくても、今は何もされていないでしょう?」 故郷であるこの世界への愛着など微塵も無いといわんばかりな彼の態度に、はつい笑ってしまった。 不満げに眉を寄せる姿は、出生だとか過去だとかではなく、嫌いな食べ物を前にした子供のようだ。 これは少し甘えたい気分になってきたのだろうと、は包丁を置いて手を洗う。 「この星は、気を抜けばお前に何をするかわからん。お前も、律儀に余計なものを背負う。ルーファウスがいなくなれば、この星に用などない」 「おや、耳が痛い」 今回の騒ぎに関わるのにも良い気がしていないと言外に言う彼に、は視線を逸らしながら袋に入れたとうもろこしを魔法で凍らせる。 すでに容量がギリギリの冷凍庫に袋を入れた後、棚にある珈琲の瓶に目がいったが、今は彼のそばに行く方が良い気がした。 まだ何もやらかしていないので、説教されない分、気持ちは楽だ。 心配をため息にして吐き出した彼の隣にそっと腰を下ろすと、土いじりで少しだけ爪の色が変わった彼の手に触れる。 甘く青い香りが残る彼女の手をゆっくりと握り返した彼は、一度深く瞼を伏せると、壁にかけられた暦に目をやった。 「ルーファウスは、100を超えても生きそうだと思ったんだがな……」 「何を今にも死にそうな風に言っているんですか。昨日元気な顔を見てきたばかりでしょう?」 「……だが、春よりは弱っていた。会話にも生返事が増えたと思わないか?」 それは貴方が椎茸と畑の話ばかりするからでは? そう思っただったが、言ったら彼が悲しそうな顔をしそうだったので黙っておいた。 確かに最近のルーファウスは疲れた顔をよく見せるが、セフィロスだって、ルーファウスがガラス食器の話をしても半分くらいしか話を聞いていないのだ。 共通の趣味があっての友人ではないので、そんなものだろう。 「95を過ぎた老人なのですから、会話の途中で疲れることもあるでしょう」 「ああ。それは、分かっている……。だが、ルーファウスを見ていると、俺たちも色々と整理を始めた方が良い気がしている」 「まあ……そうですねぇ。……では、畑の合間に荷物の選別をしましょうか。北の家の片付けは、大変そうですから」 「たまる一方の保存食もな……」 「……そうですね」 町に出る度に野菜の苗を買ってきて椎茸にまで手を出す人がそれを言うのか。 口にしなかっただが、思ったことはセフィロスに通じたようで、彼は、見つめ合っていた視線を一瞬泳がせると、すました顔で視線を窓の外へ逃がした。 咎める気はないは、彼の反応に小さく笑みを零すと、立ち仕事で固まっていた腰を解すように背を反らせ、力を抜きながら彼の肩に寄り掛かる。 旅に出る準備は殆どが終わっていて、後は荷物の片付けをするだけだ。 残したいものが多くとも、持っていけるものは少ない。 これまで生きていた中で、突然のように失い手放すことばかりだったには、過去との別れが上手くできるか分からない。 ルーファウスから返された思い出の品々ですら、懐かしむ以外にどうしたらいいかわからず、持て余して棚にしまい込んでいたくらいだ。 きっと、セフィロスの方がミッドガル時代の荷物の中身を把握している。 欲を張ってすべて抱えていっては、限度がなくなってしまうから、多くを置いて行かなければならない事を、漠然と理解しているだけだ。 ただ、何を残し、何を置いてゆけば良いのかは、わからない。 「、アイシクルエリアの家にある保存食はどうする?」 「食べきれない分は持っていくつもりでいましたよ?食べ物を捨てるのは、苦手なので」 「かなりの量だが、持ちきれるのか?」 「ご心配なく。そのために、ラムウ達から色々な世界の魔法を教えてもらっていますから」 「そうか……お前は、童話の魔法使いにもなれそうだな」 「そこまで万能ではありませんし、戦闘の方に特化していますけどね」 基本脳筋だからな……という余計な一言を飲み込んで、セフィロスは頬をくすぐるの髪に誘われるように、彼女の頭に頬を載せて頭を預ける。 窓から入る風は夏の山の香りがして、家の中まで緑に色づかせるようだった。 目を閉じれば眠りに誘われそうな穏やかさだが、繋いだ手を弄ばれるくすぐったさに、彼はただ目を細める。 「……セフィロス」 「何だ?」 「爪の間に椎茸がはいってますよ?」 「……お前もとうもろこしが挟まっているだろう?」 「一緒に手を洗ってきましょうか」 「……そうだな」 見て見ぬふりをすればいいのに、どうしてこうすぐに雰囲気を壊すのか。 絡めた手を持ち上げて、人の指先の匂いをクンクンかいで言うに、セフィロスは呆れた視線を向けると小さくため息をつく。 彼女の髪に頬を乗せたまま目を閉じ、汗が混じる彼女の香りを少しだけ吸い込むと、彼女の手を引いて立ち上がった。 秋になると、いつのまにか夜空に増えていた青い星が月ほどの大きさで見えるようになった。 程なくそれが次なるメテオであると発表され、世が騒然となる中で、変種騒ぎの時のメテオの記録とともに、かつてミッドガルを破壊したメテオの記録も引きずり出される。 混乱と恐れ故か、先人達が封をしたはずの情報すら、その意図を無視して表に出てきた。 以前、忘らるる都の湖底から白マテリアが発見された話がWRO職員から漏れたのは序の口。 同時に黒マテリアの存在もどこからか漏れ、事態の沈静化を図ろうとしたWROが、新メテオ対策として、新生古代種による白マテリアの発動計画が発表した。 だが、何故かそれがWROが新生古代種を独占しているという話になり、彼らの人権問題の議論が起きた。 同時に、新生ソルジャーという武力独占状態を問題視する声も出ていて、メテオが関係ないところが騒がしい。 あまりの人類の混乱ぶりに、最初は仕方ないと思っていたとセフィロスも、流石に呆れて人類の滅亡を現実的に想像してしまった。 「滅びるならそこまでだな」 「ダメですよ。まだルーファウスが生きているんですから」 「まだ……な」 「ええ。まだ、です」 窓辺に置いたラジオから流れる無意味な議論に、冷めた顔をするセフィロスだったが、から返された言葉に窓の外へ目をやった。 夏の暑さで体調を崩したルーファウスは、涼しい季節になっても調子を戻せずにいる。 長年早寝早起きだった彼の睡眠時間はこの数か月でどんどん伸びて、ベッドの中にいる時間も増えていた。 ルーファウス自身も、別れの時が近づいていると感じているようで、先週初めて息子をミディールに呼び、数年ぶりに親子の時を過ごしていた。 誰も口にはしないが、彼に残された時間がメテオが落ちより早いだろう事は、周りにいる皆が感じいた。 それを意識するたびに、少しだけ寂しげな目をするセフィロスを、は寄り添い見守る事にした。 感傷的になっている彼に対し、たとえ肉体が死んでも、ライフストリームで呼べば多分すぐ来るとは、さすがのも言えなかった。 共に肉体を持っているからこそ重ねられる時の尊さと、それを惜しむ気持ちに水を差すのが無粋なことぐらいはわかる。 ルーファウスを見送った後のことを考えると、少し面倒で憂鬱になるが、それもすぐに思い出になり、やがて記憶の器から零れ落ちて消えていくのだろう。 そんな事を考えているとき、ふと、教え子から受けた小さなお願いを思い出し、は携帯を開く。 年に一度くらいしか連絡していないが、多分元気だろうと考えながらメッセージを打っていると、休憩に飽きたセフィロスが珈琲をいれに行った。 ルーファウスが眠りについたのはその翌月で、丁度とセフィロスが顔を見に行っていた日の事だった。 とうの昔に覚悟は決めていても、去り行く友に寂しさを隠せないセフィロスの隣で、は肉体から離れて興味深そうに自分たちを見るルーファウスへ、セフィロスに見つかって空気が壊れる前にライフストリームへ行けと手振りで訴える。 ニヤリと笑って消えたルーファウスに胸を撫でおろしたと、複雑な顔でそれを見ていたカーフェイとガイ。 自分の死角でそんな事になっているとは知らないセフィロスは、一人しんみりと生き終えた友の手を握っていた。 生前約束していたため、ルーファウスの遺体はによって灰に変えられ、ガイたちの手によってルーファウスの息子に引き渡された。 その後、灰の半分は昔作った偽の墓に収められ、残る半分は事情を知る親族によってミッドガル沖の海に流されたらしい。 ガイとカーフェイが、ルーファウスの死後の手続きを一通り終えたのは半月後。 既に数十年前、ルーファウス=神羅が亡くなった手続きはしていたので、今回の手続きはそう手間がかかるものはなかった。 大半の遺産は息子経由で慈善団体に寄付されたが、一部は岩塩や布、酒といった品になり、選別という名で達に届けられた。 セフィロスには、それとは別で大きな荷物が届けられたようだが、政宗に似た長刀が2本入っていたのは見えたものの、それ以外に何を受け取ったかは聞いていない。 大きな箱を覗き込み、添えられた手紙を読んだセフィロスが、変な呻き声を上げたあと叫んでいたが、が聞いても詳細は教えてくれなかった。 処分した様子はないので、何だかんだで役に立つか嬉しいものだったのだろう。 もで、見たことない合金で作られた神羅製ナイフや、社外秘と書かれた装備品レシピなど、他にも色々と内緒で貰っているので、しつこく聞こうとはしなかった。 すべての仕事を終えたガイとカーフェイは、ルーファウスが最後の給料に付けてくれたボーナスと預金を使い切ってから死ぬと言って、楽しそうに旅行の準備をしている。 ならばもう1人の友人にも声をかけてやれ、と、某村の元校長を本人の同意の上で若返らせて連れてきたところ、はガイとカーフェイから親の仇のような目で見られることになった。 元々アーサーからは、ガイたちの最後を見送ってやりたいからと協力を頼まれていたのだが、どうやらアーサーは2人に何も言っていなかったらしい。 アーサーのとりなしで怒りを収めた2人は、アーサーを交えて3人で旅支度をすると、若者のような溌溂とした笑顔で出発した。 思い出の地や友人の墓参りをしながら各地を巡り、最後はアーサーの村へ行くらしい。 当たり前に武器を準備しているので、お守り代わりにステータス異常を防ぐアクセサリーを渡しておいたが、使わずに済むことを祈るばかりだ。 長年タークスとして貯めた金を空にするつもりの2人だ。 付き合うアーサーには、から結構な額を渡しておいた。 ルーファウスがいなくなった今、もまた近くこの世界を去るので、必要のない金になる。 長年の貯蓄を使い尽くすまでの旅行にかかる金額は、いくらアーサーでも簡単に出せないだろうし、2人の監督代という名目で何とか受け取ってもらった。 遠慮するアーサーに対し、からの入金処理を頼まれたガイとカーフェイは、嬉々として手続きをしてくれた。 の預金の半分が、ごっそりアーサーの口座に移動されたのだが、それを知らないのは当のアーサーだけである。 この世界を去るまでの間なら、セフィロスの貯蓄だけで十分生活できるので、3人を見送ったはミディールの家でセフィロスと晴耕雨読の生活をつづけた。 アーサーからは数日おきに旅の様子が写真で送られてくるが、ガイたちからはほとんど連絡はない。 時折思い出したように送られてくるのは、旅先で食べたやたら美味そうな料理や、3人で倒した強い魔物の写真ばかりだ。 時折、現地で噂される特異個体の魔物について情報を求めるメッセージは来るが、それ以外に何かメッセージが来ることはない。 それでも、田舎でのんびりと暮らすとセフィロスには、彼らからの知らせは程よい娯楽になっていた。 最初は豪遊が見られた旅の写真も、ミディールの短い冬が始まる頃には落ち着き始め、段々と魔物の討伐記録のようになっていく。 彼らの旅が変わっていくと同時に、世間も魔物の増殖だ活性化だと騒がしくなり、いつかの新種騒ぎを思い出させるようになってくる。 しかし、やはりセフィロスとが住む地域は、魔物も動物も寄り付かず、平和そのものだった。 今の住居はミディール市街地とはそう離れていないので、アイシクルエリアの時のように閉鎖されて孤立する可能性も少ない。 しかし平和なミディールも治安は乱れ、達の家の畑にすら、野菜泥棒が入るようになってきた。 当然、あっさり捕まえて街の自警団に引き渡すのだが、回数が増えるとそのために街まで行くのが面倒になってくる。 今日も、夜中に忍び込んできた野菜泥棒を街まで運んだ2人は、自警団から感謝されつつ面倒に思う気持ちを隠せず、帰りの車中ではため息が出てしまった。 2人が野菜泥棒を捕まえるおかげで、近隣の農家の被害が減ってきていると感謝されたが、できればそんな被害が増える前に対処してほしいものだ。 「最近野菜泥棒が増えてきましたし、番犬代わりにベヒーモスでも飼いましょうか?」 「俺たちが自警団に捕まるからやめておけ。獣用の罠でも設置すれば十分だろう」 「獣用では、逆に普通の人間には威力が強すぎる気がしますが……?」 「……そうなのか?」 「一晩中拘束する罠ですよ?朝には衰弱していますし、最近朝は冷えますから下手をすると死んでしまいます。魔物や獣で追い払うぐらいが一番手間がかからないと思いますよ?」 「なるほど……確かにな」 納得して呟いたセフィロスは、ハンドルを握ったままやれやれと大きくため息をつく。 街にある最寄りの自警団詰め所までは、車で20分もかからないが、引き渡しの手続きを含めると往復で1時間半近くかかるのだ。 ため息もつきたくなる。 正直、大きな被害を受けている近隣農家の一部には、泥棒の生死など問わないくらい怒りに燃えている者もいるらしいが、達はそうではない。 捕まえて連行するのが面倒という、それだけなのだ。 面倒すぎて、2~3日その辺の木に繋いで放置しようかと思ったのも、1度や2度ではない。 近隣の農家は、泥棒被害が出始めてから、番犬を飼うところが増えたらしい。 泥棒の頻度が高いと愚痴ったところで、その話を聞かされて、このとセフィロスの会話だ。 だが、がいる以上、普通の動物は飼えないし、家畜化できる弱い魔物もストレスで死ぬか逃げ出すだろう。 半端に強い魔物も、逃げて逆に近隣に被害を出しそうだし、警備用の動物で対処するのは達には難しそうだった。 「いっそカトブレパスを放し飼いにしてみましょうか?泥棒が来ても石化してくれますから、まとまった数になるまで放置しても死にませんし」 「カトブレパスを新種の魔物だと思われて騒ぎになるからやめておけ」 「ああ……では、人型であるタイタンに夜間警備を頼みましょうか……」 「下着1枚の変態が出ると自警団が来る気がするが……」 「……となると、ラムウも徘徊老人として通報されますね」 「ああ。召喚獣はダメだな」 山に近い奥まった土地とはいえ、今の家は主要道路からあまり離れていないので、一応近所の目は気にしなければならない。 目が合うと石化する獣も、ほぼ裸で地面を揺らしてくる大男も、色んな意味でアウトだった。 結局夜だけ畑の周りに魔法で落とし穴を作ることに落ち着き、2人が夜中に泥棒捕獲のため起きることは無くなった。 気温が最も下がる頃になると、自家消費用の達の畑に作物がなくなったこともあり、夜中の侵入者は現れなくなった。 3人の元教え子も、数週間コスタ・デル・ソルで遊びながら魔物を狩っていたが、ロケット村経由でアイシクルエリアに向かうらしい。 最近また流行りだしたウィンタースポーツを楽しむそうだが、北の大空洞にいる魔物が南下を始めているという情報もある。 おそらく、遊ぶ時間よりも魔物を討伐する時間の方が長くなるだろう。 各地を巡りながら魔物を狩る凄腕の3人組がいると噂されていることを、本人たちは気づいているのか、いないのか。 新たな英雄扱いされて祭り上げられないうちに、迎えに行った方が良いかもしれないと考えている間に、年が明けた。 |
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2025.03.03 Rika |
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