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Illusion sand  番外編もしもシリーズ
 Family Fanyasy 5



皆さんこんにちは。毎度お馴染み、です。
え?キャラが壊れてきてる?
そんな事ありませんよ、私はいたって普通です。

えぇ、普通。

さて、いつも何かしら起きては、こうして皆さんにご報告しているのですが、今回もまた、ちょっと変わった我が家の出来事をご紹介します。

え?ルーファウス?誰ですかそれは。

私そんな方には会った事もお話した事もございませんが・・・

ああ!そうですね、新神羅の社長さんですね。
確かそんな名前でいらっしゃいましたね。
たった今、思い出しました。

そんな事はどうでも良いですから、皆さん今日は我が家の様子をお楽しみくださいませ。

今日はなんと、家族全員でコスタ・デル・ソルに来てるので〜す!!



「姉さん、さっきから何一人でブツブツ言ってるの?」
「ヤズー、きっと熱中症だよ」
「うわぁん!姉ちゃん死んじゃヤダァァ!」
「死なないよ。それに熱中症でもないから」


びえぇぇと泣き出したロッズの頭を撫で、は目の前に広がる砂浜に目を細める。
青く遠い空には小さな綿雲が浮かび、白い太陽の光を反射する海は、青からエメラルドグリーンへと色を変えて広がっていた。
指折りのリゾート地は、夏期休暇ということもあり、日焼けした水着姿の人が多く見られる。
露店から漂う美味しそうな香りは、朝食をとった後の胃袋さえ誘惑してきた。


「はしゃぐのはいいが、はぐれないようにしろ」
「何かあったら、お父さんを目印に集合なさい」
「はーい。ヤズー、カダージュ、ロッズ、行くよー」


両親からの注意を受け、は弟達と手を繋ぐと海へ歩いて行く。
波打ち際までくると、待ちきれなかったらしい弟達は彼女の手を離し、海の中に飛び込んだ。
ちらりと後ろを振り返ってみれば、嫌でも目立つ父の姿は、群衆の中、すぐに見つけられる。

暑いからと髪を束ね、薄いシャツを羽織っているセフィロスは、勿論下に水着を履いていた。
父の生足や裸をまじまじと見る趣味は無いが、それにしても水着が似合わない人だと、娘はつくづく思う。

こうして家族でコスタ・デル・ソルに来る事は初めてではない。
子供の休みと両親の休みが重なった時は、大概何処かに遠出したりするので、はこの地にも何度か訪れていた。
故に、父の水着姿はある程度見慣れているのだが、だからと言って似合うと思えるわけではない。
水着が似合わないというより、半ズボンが似合わないだけなのだが・・・。

それに加えあの容姿、体格、雰囲気だ。
父の姿は、何処にいたって否応なしに目立つ。

それはそれぞれが持つ雰囲気のせいだよ、と言ったのは、ジェネシスお兄さん。
ジェネシスお兄さんの言葉は、イマイチ信用に欠けるが、アンジールお兄さんも頷いていたので、きっとそれは本当だろう。

母さんは、目立つ時と目立たない時があるが、目立たない時は気配と存在感を消しているだけだと教えられた。
強くなれば出来るといわれたが、多分自分には出来ない芸当だろうし、言っている言葉の意味もよくわからなかった。
分かったのは、その後に付け加えられた『セフィロスは、私がどんなに気配を消しても、存在感を消しても、見つけてしまうけどね』という言葉が、父への惚気だという事だけだ。
父も父で似たような事を言っていたので、この夫婦が別れる事は多分無いだろう。そう娘は常々思っている。

現に、母を目で追って鼻の下を伸ばしている男を、父が視線で追い払っている。
子供4人を産んだとは思えない体つきで、見た目も父同様20代と言って通じるので、変な人が寄ってきてもあまり不思議には思わないが・・・見ているだけの人まで追い払う父の姿は、ちょっと大人気ない。


「姉さん、ボーっとしてると溺れるよ」
「膝までしかない水位でどう溺れるの」

きゅっと指先を握ってきた小さな手に、はヤズーを見下ろして呆れた声を返す。
ロッズとカダージュは、水に潜って色々な場所から顔を出したりして、二人で遊び始めていた。


「ヤズーも行ってきたら?」
「姉さんと一緒にいる」

「またそんな事言って・・・」
「俺は姉さんと一緒がいい」

「っ・・・仕方ないなぁもう」


可愛い事言ってくれないでよ、このお姉ちゃん子め。

口を尖らせて見上げるヤズーに、はだらしなく頬を緩めて手を引く。
少しずつ深くなる海に、彼は彼女の腕をぎゅっと握りながら、ゆっくり足を進めて行った。

カダージュ達の横を通り過ぎ、の腰辺りまでの水深になると、ヤズーは彼女の腕から体へとしがみ付く場所をかえる。
あまりにガッチリ掴んでくる彼に、彼女は彼の体を支えるが、もう少し進もうとした彼女とは対照にヤズーの足はとまってしまった。


「どうしたの?もう少し深い方が潜れるよ?」
「・・・もうヤだ」

「え、じゃぁ、上がる?」
「ヤだ」

「それじゃぁ、ここら辺で遊ぼうか」
「離れちゃヤだ!」

「え・・・」


嫌々言うヤズーに、少し首を傾げたは、彼から身を離そうとする。
だが、彼女の体が少しはなれた途端、ヤズーは涙目になって再びの体にしがみついてきた。

前に来た時は、カダージュ達と一緒に泳ぎまわっていたのに、一体どうしたのだろうか。
単なるシスコンにしては、様子がおかしいと考え、が彼の顔を覗き込むと、それまで遊んでいたカダージュ達が傍に寄ってきた。


「姉さん、ヤズーは泳げなくなっちゃったんだよ」
「は?何で?」
「言うなよカダージュ!」
「この間のプールの時間、ヤズー溺れたんだ」

「そう。ケビンがね、ヤズーが女の子みたいだって言って、足を引っ張ったんだ」
「そんな事あったの?」
「・・・言うなって言っただろ・・・」
「だから、俺とカダージュでケビンの奴ボコってやったんだ!アイツ態度デケェくせに喧嘩超弱えーの」

「その後、女子にも怒られてたよね。ヤズーの彼女なんか泣きながらケビンにビンタしてたよ」
「ヤズー彼女なんかいるの!?」
「違うよ!クレアが勝手についてくんだよ!」
「だよなぁ。俺もクレアはパス。ヤズーと他の男子じゃ態度違うし、生意気だもん」

「とにかく、それからヤズー泳げなくなったちゃったんだ」
「そっかぁ。ヤズー恐かったんだねー」
「・・・・・・・」


確かにそんな事をされれば、泳ぐのが怖くなってしまうだろう。
悪戯とはいえ、普段泳ぎなれた場所でそんな恐怖を味わえば尚更だ。

幼くても男の子だ。
自分の情けない出来事を知られるのは恥かしいし、悔しいだろう。
膨れっ面でにひっつくヤズーは、ちらりと上を見上げ、彼女と目が合うと慌てて顔を伏せた。

せっかく海に来たのに、全く遊べないのは勿体無い。
また二人で遊びだしたカダージュ達を、ヤズーは羨ましそうに眺めており、はどうしたものかと考える。

周りにいる人たちは、大人から子供まで、皆自由に生みの中を泳いで遊んでいる。
以前は泳げたのだから、水に慣れさせれば良いだけの気もするのだが、ヤズーの様子を見る限り、今日中にというのは無理そうだ。
砂浜で砂遊びをしている子供もいるが、それはヤズーよりずっと年下の子達ぐらい。
恐らく彼は、彼なりのプライドで、それは嫌だと言うだろう。
他に楽しむ方法があるとすれば、買い食いぐらいだろうと海の家を眺めたは、軒先に吊るされている浮き輪を見つけた。


「ヤズー、お姉ちゃん浮き輪欲しいな〜」
「浮き輪?」

「ヤズーも欲しくない?」
「・・・・・・ヤだ」


何と。


「ヤズー・・・」
「浮き輪なんか泳げない人がつけるものなんだ」


いや、でも、お前、今、泳げないじゃん。


「大人だって浮き輪で遊ぶよ?ほら、他の人見てごらん?泳げる人も浮き輪使うんだよ〜?」
「・・・・・・」

「お姉ちゃんヤズーと浮き輪で遊びたいな〜」
「・・・・・・俺と?」

「うん。ヤズーと」
「・・・・・・・・・・・・・・・・仕方ないな、姉さんは」

仕方ないとか言いましたよこの子!?

仕方ないのはお前の方だろうと心の中で叫びながら、はヤズーの手を引いて海から上がる。
カダージュ達に、あまり移動しないように言うと、二人は元気良く頷いて手を振った。

海から上がると同時に、ヤズーは元気を取り戻したようで、を引っ張るように両親の方へ歩く。
小さいヤズーは難なく人を避けて歩くが、彼より背丈が大きい彼女はそうもいかない。
何とか彼について歩き、漸く両親の元へ着いた頃には、は少し肩で息をしていた。


「どうした?」
「父さん、姉さんが浮き輪欲しいんだって」
「浮き輪?」
「うん。お母さん、ゴメン、お金ちょうだい」


必要なら家から持ってくるだろうと言いたげに、セフィロスはを見る。
父の視線に苦笑いするは、ちらりとヤズーへ視線をやり、それだけで両親は納得したようだった。


「わかった。
「はい。・・・事前に考えておくべきだったね。すまない、二人とも」
「ううん。いいの。急にゴメンね」
「ホンット仕方ないよね姉さんは」


お前の為だ。お前の。

大げさに溜息をついてみせるヤズーに、はその頬を抓ってやりたくなる。
苦笑いする両親からお金を受け取り、ついでに自分達の飲み物も買って来るようお使いを頼まれると、二人はその場を後にした。


「ヤズー、一人で行かないの。ちゃんとお姉ちゃんの手繋いで」
「・・・わかったよ。姉さんが迷子になったら、困るからね」


お前が迷子になるからだよ。


海から上がった途端可愛らしさが無くなった弟に、は顔を引き攣らせながら小さな手を取る。
このまま海に投げ入れてやりたくなる気持ちを抑え、海の家に着いた彼女は、ぶら下がっている浮き輪を眺め始めた。


「ねぇヤズー、どれがいい?」
「右から2番目!」

「んー・・・ヤズーにはちょっと大きくない?」
「姉さんはお尻が大きいから、それぐらいが丁度いいよ」

「わ、私のお尻は普通です!変な事言わないの!」
「だって大きいだろ。ホラ」

「揉むな!私じゃなくて、ヤズーの体に合わせて選んでよ」
「俺のサイズじゃ、姉さんの体が入らないだろ?」

「入りますー!そういう事言うなら、もう一緒に遊んであげないよ?」
「・・・悪かったよ。じゃぁ・・・左の端にあるやつ」

「素直でよろしい」


遊んであげないの一言で大人しくなったヤズーに、は満足気に頷くと店員に声をかける。
会計が済む間、キョロキョロと周りを見回していたヤズーは、「あ!」と声を上げると走り出した。


「え、ヤズー!?」
「はい、820ギルのお返しね」

「あ、ありがとうございます。って、ヤズー!?何処行ったの!?」


いきなり手を離していなくなった弟に、は慌てて辺りを見回す。
だが、人でごった返す海の家の近くでは、小さな彼を容易に見つける事が出来ず、彼女は浮き輪片手に彼の姿を探した。


「そんなに慌てて、どうしたんだ?」
「急いでるんで今度にしてください。ヤズー、何処ー!?」

「・・・あんまりキョロキョロしてると、変な奴に連れて行かれるぞ?」
「返り討ちにするので平気です。ヤズー!ヤズー!!」

「人探しなら、手伝おうか?」
「いりません。ヤズー!返事しなさい!ヤズー!!」


後ろからしつこく話しかけてくる男に、は振り向きもせず言葉を返す。
弟の名を呼んで歩く彼女に、道行く人々が振り向くが、彼の姿は一向に見えない。
そんなに広い場所でもないのに、どうして返事をしてくれないのだろうと考えていると、少し先にある店の前に立っているヤズーを見つけた。


「ヤズー!一人で行かないでって言ったでしょ!」
「姉さん!見て!ガイ兄さんがいる!!」

「はぁ?」


ガイ兄ちゃんとは、母の教え子で、神羅戦争で活躍した一人。
五大英雄程有名ではないが、それなりに名は知られている。

両親が忙しい時、はアーサーによく預けられたが、ヤズー達が生まれて人数が増えてからは、他の母の教え子達にも面倒をみてもらった覚えがある。
ガイもその中の一人で、現在は他の人と同じく新神羅で働いていると聞いた。

そんな彼が、海の家にいると言うヤズーに、は眉を寄せて首をかしげる。
きっと似ている他人を見てそう言うのだろう。
そう考えながら、ヤズーの傍に歩み寄ったは、彼の手をとると同時に店の中にいた人物に目を丸くした。


「・・・ガイお兄ちゃん」
「ん?先・・・あれ、違うかな?」
「ガイ兄さん、此処で何してるの?」

「まさか、失業!?」
「は?えー・・・っと・・・」


真っ黒に日焼けした肌に、無精ひげを生やしているガイに、もヤズーも目を丸くする。
二人の瞳に見つめられるガイは、少しの間目をパチクリさせていると、やがて口元を押さえ、肩を震わせて笑い始めた。


「ガイお兄ちゃん、どうしたの?ってゆーか、何で此処に・・・」
「ガイじゃないよ。君達さては、先生の子供かな?」
「何言ってるんだよ。ガイ兄さんだろ?」

「・・・違う。違うよヤズー。ガイお兄ちゃんの瞳の色はもっと薄い青だもん。あの、すみません、人違いでした」
「気にしないで。それにしても、よく気がついたね」
「・・・母さんの事知ってるの?」


慌てて頭を下げるに、ガイに良く似た彼はニッコリと笑う。
全く同じ顔にしか見えないのに、別人だという事が信じられないのか、ヤズーは呆然と彼を見つめたまま訪ねた。


「うん。先生には、ちょっとの間、お世話になったかな。僕はアルヴァっていうんだ。ガイお兄ちゃんの従兄弟だよ」
「あ、僕わかった」
「・・・アルヴァ・・・って、コスタ・デル・ソル作戦の時に囮役になったアルヴァさん?」

「囮っていうか・・・まぁ、アレは結局本当に捕まっちゃったんだけどね・・・」
「僕知ってるよ。それでガイ兄さんとかロベルト兄さん達が作戦無視して特攻したんだよね?」
「ヤ、ヤズー!そういう事まで言わないの!」

「そうそう。でも最初に突っ込んできたのは、ガイ達と一緒に戦ってた女の子だったけどね。その後アーサー達も追っかけてきて」
「うん。その時カーフェイ兄さんがその子に告白して、そのまま皆で告白合戦になったんだよね」
「ぇええ!?何それ!初めて聞いた!」

「本気で死ぬかもしれない状況で、最後だと思ったから、皆そうしたんだろうけど・・・」
「銃声とか叫び声で、その子には全然聞こえてなかったんだよね、兄さん達の告白」
「・・・・・・」


神羅戦争コスタ・デル・ソル作戦と言えば、戦争が始まったばかりの頃。神羅戦争の中でも3本の指に入る激戦だったという。
当時アーサーは士官学校を卒業して間もない22歳。他の面子もそれと同じか、まだ年下だったはずだ。
そんな若い彼らが、死を前にして叫んだ愛の言葉が・・・聞こえていなかっただなんて。

状況から考えれば、仕方が無い事なのかもしれないが、は当時のアーサー達が不憫に思えてならなかった。


「大の男が・・・6〜7人かな?声張り上げて叫んだのにねー」
「何か・・・可哀想・・・」
「アルヴァ兄さんも告白したの?」

「僕はその時もう奥さんも子供もいたからね。でも皆、聞こえてなかったのはショックだったみたいだけど、後悔はしてなかったみたいだよ。ま、僕は青臭すぎて引いちゃったけど。そのすぐ後に先生が来て、アッサリ戦い終わらせちゃったんだ」
「お母さんも戦ったんですか?」
「僕、それ知らない!」

「うん。・・・あれ?聞いてないの?」
「はい。だってお母さん、本部の警備ぐらいしかしなかったって・・・」
「ルーたん隊長の護衛してたんでしょ?」

「あー・・・そっか。そういう事になってるのか・・・」


実際のところ、は神羅戦争の2割の戦いで前線を務め、数えられていない戦闘でも戦地にいたのだが・・・。
勿論、ルーファウスの護衛を主な任務としてはいたのだが、彼女の戦功はソルジャー1stの4人にも劣らない。
それをガイ達から聞いていたアルヴァは、の名が表に出ない事に疑問を持っていたが、たちの反応を見て漸く納得した。

自分の運命を初めて自分で決めた、士官学校の実習旅行。
あの時からは自分の力を必要最低限しか見せない所があったが、神羅戦争の時もそうだったのだろう。
強いと知られれば、面倒がついてくる。という事だ。


「・・・違うんですか?」
「いや、違わないよ。でも君達のお母さんは先生だからね。大事な教え子の為なら、戦場にだって飛び込むさ」
「ふーん」


素直に信じる子供達に、アルヴァは親とは大違いだと失礼な事を考える。
あの二人・・・というか、の子供というから、どんな鬼が生まれるかと思っていたのだが、たちは彼の予想を裏切りごく普通の子供だ。
時折連絡をとっているガイから、馬鹿みたいに喧嘩が強い子達だと言われていたのだが、きっと冗談だったのだろう。

よくぞ普通の子に育ってくれた・・・。


しみじみとしながら二人を見ていたアルヴァは、ふと、の隣で品物を眺めている男達に目をとめた。
先程から、チラチラと彼女の方を盗み見る視線は、彼にとって見慣れた軟派の類を臭わせている。


「それじゃぁ、アルヴァさん、私達、そろそろ行きますね」
「ん?ああ。ご両親に、よろしくね」

「バイバイ、アルヴァ兄さん」
「うん。また遊びにおいで」


母親は、軽い気持ちでは近寄り難い雰囲気を持っているが、にはそれがない。
男の目が行くのは仕方ないのだろうと思いながら、アルヴァは二人に手を振って見送った。

二人がいなくなると同時に、彼女を見ていた男達もいなくなり、彼は少しだけ心配になる。
幼い男の子と年頃の女の子だ。送って行った方がよかったのかもしれない。
そう思った彼がちらりと店の外を覗いた瞬間、小さな男の子の叫び声のようなものが聞こえた。


「だめ、ヤズー!」


次いで聞こえたの叫び声に、アルヴァは驚いて外に出る。
だが、そこにあったのは彼が予想していた光景ではなく、達を追って行った男の横面を蹴り飛ばす、少年ヤズーの姿だった。


「・・・・・・・・・」


唖然とする人々の前で、ヤズーは残る男達の腹に拳を叩き込み、一撃で倒してゆく。
その度に、が制止しようと弟の名を叫んでいるが、彼が止ったのは男達が全員倒れた後だった。

大人の男達を相手にしながら、一瞬で勝利を収めた少年に、アルヴァはやはり普通の子には育たなかったのかとぼんやり考える。
普通ではありえない光景だが、この子の両親が誰かと考えると、難なく納得出来てしまうから・・・なんと言うか、凄い。
この強さは、父と母、どちらの遺伝だろうか。

そんなどうでも良い事を考えながら、騒動の渦中になってしまった二人に、アルヴァは歩み寄ろうとする。
だが、彼が歩き出すより先に、その隣を金髪のチョコボ頭が通り過ぎた。

驚いてその後姿を目で追うと、彼はの方へまっすぐ歩いて行く。
もしかして、先程からずっといたのだろうかと考えながら、彼がいるなら安心だとアルヴァは自分の店に引っ込んだ。







ノリで書いてたらこんな事に(汗)
今回は珍しく、1話読みきりになりませんでした。いや、書ききれなかったからなんですがね
次は、チョコボ頭の彼が出ますぞー

2008.07.23 Rika
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