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「セフィロス、明日も晴れるようです。畑も落ち着いてきましたし、ふもとの道の様子でも見てきませんか?」
「かまわん。だが、時間がかかりそうだな。昼は持っていくか」

追加の種まきが終わった畑を眺めながら誘ったに、セフィロスは軍手を外しながら応えた。
それに頷き返し、彼から土で汚れた軍手を受け取った彼女は、軽く土を落とすと畑を囲む柵に乗せて干す。
雪の下に残っていた枯れ草と、芽吹きはじめた雑草に靴の裏を拭って泥を落としたセフィロスは、ウッドデッキの端に作った棚に長靴を入れると、作業用の上着を脱ぎながら家の中へ入っていった。

まっすぐシャワーで泥を落とす彼と時間をずらすため、は畑の周りをもう一度ぐるりと回ってしまい忘れの道具が無いか確かめる。
畑の端から川へ続く道も既に綺麗にし終えているが、人間離れした2人が住んでいるからか、相変わらず野生動物の気配は無い。
山々の頂には未だ白い雪が残り、朝方は未だに凍えるが、冬眠から覚めた動物たちですら避けるような有様だった。
景色の中へ耳を傾ければ、日々暖かさを増す陽の光に喜んでいる鳥の声と共に、谷を流れる雪解け水の音が確かに聞こえた。
今年は、例年より雪が多かったのだろうか。家の敷地にいて川の音が聞こえるのは初めてだった。

やはり暫く、セフィロスが釣りに行くのは無理そうだと考えながら、は見回りを終えて家へ向かう。
靴の泥を落とし、上着を脱いでウッドデッキにあるリビングへ繋がる扉を開けると、丁度髪を濡らしたセフィロスが廊下の扉を開けて入ってきたところだった。 


Illusion sand ある未来の物語 96


先週整備が終わった山道は、予想通り、埋まったままの木の根を燃やした部分が陥没したり一部泥濘ができたりしていたため、2人は補修しながら進むことになった。
弁当を入れた鞄を持ちながら、散歩やピクニックするような気分で歩いていくが、鳥の声は聞こえても野生動物は影も形も見当たらない。
変種が出る前は、僅かだが付近に生息していた動物の痕跡が見られたが、今はそれすら見当たらなかった。
代わりに、植物と虫は増えた気がする。

「久しぶりという事もありますが、ゆっくり歩くと、この道もまた違って見えますね」
「坂とカーブが多くて、車で通る時は景色を見る余裕がなかったからな」

「ええ。最初は、どうしてルーファウスはあそこまで山奥に1軒だけ別荘を建てたのかと思ったのですが、ここの少し草木が少ない所、建物の跡のようですね」
「ああ。たまに、木々の中に、石畳や基礎のようなものが見えている場所もあった。昔は、他にも家が建っていたのかもしれんな」

「注意して見なければ、森に飲まれてわかりませんけれどね。まさか、10年近く住んでから気づくとは思いませんでした」
「今の時期以外では、草や雪に覆われいる上、車で通りすぎるだけでは気づけないほど僅かな痕跡だ。仕方がない」


集落の住人と交流を持っていれば、そういった話を耳にする事もあったかもしれないが、2人は老いない姿を怪しまれないために、そういう付き合いは避けていた。
思い入れがあって選んだ土地でもないので、深く調べる理由もなかったのだ。

ただの暇つぶしに、道沿いに時折見つけられる建物の痕跡を探しながら歩いていると、2時間ほどで麓へ到着する。
山道を直した際に見たときは、まだ道に雪が残っていたが、今はすっかり溶けてアスファルトを突き破る新芽や木が陽の光を浴びていた。


「とりあえず主要街道までは少し道を整えましょうか。セフィロス、作業は私がやりますから、辺りの警戒をお願いします。ちょっと煩くしますね」
「わかった」

住人など誰も残っていなさそうな廃墟の集落だが、北の方に人の気配がする。
こんな近くに人がいた事には少しだけ驚き、さてどうやったら自然になるだろうと考えた結果、道路を突き破って生える木々を雷で燃やす事にした。

が、空は快晴。
春の訪れに追いやられた雪雲は北の大空洞へ住まいを移し、日を陰らせる雲の一つすらない。
風はこと穏やかで、肌寒さこそあるが雪の季節の終わりに喜ぶ緑の香りをほんのりと届けてくれるほど優しい。

「セフィロス、黒い雲を出せませんか?」
「……雲?」

「昔、ミッドガルでリユニオンしたとき出していたでしょう?メテオの後、ちょっとしてからやったリユニオンの時のです」
「あれか。出来るが、翼が出る。それでもいいのか?」

「それは……服は、破れませんよね?」
「……どうだろうな」

あれだけ真っ黒な雲なら、雷が落ちてもおかしくないはず。
雪解けで湿度があるので、ついでに雨でも降らせれば、通り雨の完成だ。

「わかりました。ではセフィロス、ちょっと脱いでからやっていただいて良いですか?」
「こんな昼間の屋外で裸になれるか」

「え、でも……いえ、わかりました。では、念のため上着だけ脱いでいただけますか?」
「……わかった」

昔も似たような恰好をしていたのでは?と、ソルジャー時代の彼の服装について言おうとしただったが、何となく触れないであげた方がよいのだろうかと思って口をつぐんだ。
弁当が入ったカバンをに渡し、彼女に頼まれた通り上着を脱いだ彼は、政宗を出すと数回振り、軽く気合いを入れて空に片手を掲げる。
その瞬間、バサリと広がった黒い翼がの鼻先を掠める。
驚くでもなく数歩下がっただったが、服はどうなっているか心配で彼の背中に目をやると、予想通り翼が生えている所の服とインナーが鋏で切ったように切れているのが見えた。

こちらから頼んだ事なので仕方がないと諦めている間に、セフィロスが作り出した暗雲が空を覆っていく。
すぐに魔法で土砂降りの雨を降らせたは、濡れネズミ状態で物言いたげな顔をするセフィロスに気づかず、道の上に生えている木々に次々と雷を落とした。
ついでに、廃墟の傍に生える木々にも無差別に雷を落とす。
視界を覆うような雨のせいで、木々は雷を受けても上手く燃えてくれなかったので、は雨で視界が遮られているのを良い事に追加で炎の魔法をかけた。
木々が一瞬で炭化し、あるいは灰になっていくのを感じながら、さらに道の上に生える頑丈な草や若木も炎に呑ませる。
雨と炎がぶつかり辺りには煙と水蒸気、そして木々とアスファルトが焼け焦げる臭いが広がった。
もはや不自然以外の何物でもないし、この後散歩するような状況でもない。
辺りを警戒してほしいといいながら、ド派手にかましてくれたに、セフィロスは考えることをやめてただ空を覆う暗雲を維持した。


「セフィロス、そろそろ雲を消して良いですよ」


耳を覆う雨音の中、静かに寄ってきたの耳打ちに、セフィロスは頷いて掲げていた手を下ろす。
同時に、夜の様に空を覆っていた雲がかき消えて、彼の背中にあった翼も消えた。

空が明るい青に戻ると同時に、ふわりと吹いた暖かな風が2人を包むと、服と髪から雨を滴らせていた二人の全身が一瞬で乾く。
小さく一息ついた彼に上着を差し出しながら、は彼の背中を確認し、やっぱり破れたままの服に苦笑いを零した。


「やっぱり服が破れてますね。帰ったら縫って、畑用の作業着にしましょうか」
「そうだな……この後はどうする?」

「……少しやりすぎてしまいましたから。街へ行く方にある橋の状態だけ確認しましょう。すみません」
「構わん。ところで、北の方にある家に人の気配があるが、どうする?見に行くのか?」

「それはやめておきましょう。知り合いではありませんし、訪れたところで、今の嵐の後ですから怪しまれます。ああ、ですが、今度、うちとは反対にある山の別荘地は見に行きましょう。行ったことがありませんから」
「わかった」

セフィロスが出してくれた暗雲が見事で、つい気合いを入れすぎてしまったは、少し申し訳なさそうな顔で予定の変更を決める。
しかし、あの嵐の直後に歩き回るなんて不審で異常な行動は流石にできないし、散歩を続けるなんて言えば彼に止められるのは明白だ。
せっかく弁当を作ったのに少し残念だが、次の機会の楽しみにして、2人は目的になった橋を見に向かった。

道に生えた草木の処理はしたが、家に続く道のように魔法で重力をかけて固めたりはしていない。
ところどころ穴が開き、ぬかるんでいる上、倒れた木々が煙を上げる道だが、2人は恐れもなく進んでいった。

アスファルトの匂いが気になって追い風を吹かせながら、以前は車で通りすぎていた集落へ入ると、転々と建つ家はどれもこれも廃墟だった。
何度も冬を越え、その度に降り積もる全ての雪を背負っていた家は、殆どが潰れてしまっている。
平屋のような小さな家はまだ原形を保っていたが、よく見れば壁が凹み、全体が歪んでいる有様だ。
以前、何度かルーファウスから移住を提案されたり、世間に関心を持てと言われたりしたのは、この集落の状況を知っていたからなのかもしれない。

昔のように気軽に街へ買い出しに出られるのはずっと先になりそうだが、達には静かに暮らせるメリットの方がおおきい。
やはり移住は理由が出来てからだと考えていると、アイシクルロッジの方から小型の飛空艇が飛んでくるのが見えた。


「何か来ますね。先ほどの嵐のせいでしょうか」
「間違いないだろうな。どうする?」

「通り過ぎるのを願って……いえ、面倒ですね。まだこちらを目視できていないでしょうから、そこの廃屋の陰から次元の狭間に移動しましょうか」
、ああいう乗り物は、目視ではなく機械で先を確認している。それと、多分もう見つかっているだろう」

「何と……」
「今更隠れる方が不自然だ。このまま行くぞ」

何故目視だなんて発想が出るのかと不思議に思ったセフィロスだったが、がこの世界で空路を利用したのは、昔ヘリに数回乗った時だけだと思い出した。
彼女は初めて乗った時から、あの小ささと揺れが苦手だったようなので、操縦席や計器を見る余裕などなかっただろう。

、お前は、元の世界でも飛空艇に乗っていたと言っていたな。その時は、どうやって辺りを確認していた?」
「普通にショウ楼……は、わかりませんか。マストの上にある見張り台から、双眼鏡で確認していましたよ。大体、私かバッツがやっていましたね」

「…………マスト?」
「はい」

、お前の世界の飛空艇には、マストがあるのか?」
「ええ。こちらの世界の飛空艇とは随分違いますよ。大型の帆船に、所々プロペラがついている感じです」

「プロぺラ……?船に……?何処に……?」
「不思議ですよね。古代文明の遺物なので、私もどういう原理で飛んでいたのか分かりません。必用だから乗っていましたが……進んで乗りたいと思ったことはありませんでしたよ」

この世界の航空移動手段しか知らないセフィロスに、が乗っていた飛空艇を想像するのはかなり難しいだろう。
どうせ目にすることはないだろうと考えて、はそれ以上昔の飛空艇についていうのはやめた。

普通の船になったり、潜水艦になったりと、当時のから見てもおかしな変形をする船だったから、もしかしたらこの世界の飛空艇の様に辺りの状況が分かる機械がついていたのかもしれない。
が、操縦はファリスに任せていたし、達は航行中彼女の指示に従って動き、強風の中見張りしていたのだ。
多分、その機械がついていなかったか、ついていてもファリスが理解できなかったのだろう。

困惑しているセフィロスの腕に自身のそれを絡めて、はひび割れたアスファルトの端を歩き、目的の橋を目指す。
途中で想像する事を諦めたセフィロスも、近づいてくる飛空艇を視界に収めながら、少し遠くに見える石造りの橋を見た。

魔晄エネルギーが普及すると同時期に作られた橋は、積雪に耐えうる強度を保つため、鉄骨が支流となり始めた当時では珍しい石造りのものだった。
先人たちが新技術より頑丈さを選んでくれたおかげで、その橋は10年近く放置されていたのに全く崩れた様子が無い。
その橋の向こうにある道は荒れ放題で、つい先ほどまでの集落の道と同じ有様だが、その辺は行政が何とかしてくれるだろう。


「頑丈そうだとは思っていましたが、思った以上ですね、この橋」
「この地域の雪に耐えられるように作られたからな。ひび割れ一つないのは流石だ」

「では、目的は果たしましたから、お弁当を食べる場所を探しましょうか」
「街道の近くは水浸しだが、どうする?」

「うーん……この辺りは思ったより荒れていますし、雪も残ってますから、山道の、眺めが良い所で食べませんか?」
「……そうだな。ところで、飛空艇から誰か降りてくるが、どうする?」

「話しかけられたら挨拶を返す程度でよろしいのでは?」
「それで済むとは思えんがな」

「普通に散歩してただけなのですから、大丈夫ですよ」
「……普通の散歩はあんな嵐を起こさない」


全く悪びれず後ろめたさもないに、これはこれで逆に怪しまれなさそうだと思いながら、セフィロスは障害物が消えた道路に着陸した飛空艇と、それから降りてきてこちらへ歩いてくる兵士を見る。
兵士は最初警戒していたが、距離が近づくにつれ、こちらがベタベタとイチャつきながら歩いているただのカップルだと分かったらしく、分かりやすく警戒を解いて呆れた顔になっていた。

気持ちはわかるが、もう少し警戒心を持つべきではないかと考えながら、セフィロスはで塞がっていない方の手を上げて挨拶する。
同じタイミングで、もヒラヒラと手を振って見せたせいか、兵士は苦笑いしながら手を振り返してきた。
装備が軽装だとは思っていたが、近くで見ると全く鍛えていない体格の兵士に、セフィロスは内心で首を傾げる。
今の偵察はこんなものなのだろうかと考えていると、兵士は人好きのする笑みを浮かべながら、互いの声が届くところまで来た。


「こんにちは。WROの者です。この集落に住んでいる方ですか?」
「いや、山の上の一軒屋に住んでいる。さっきの嵐を調べに来たのか?」

「ええ。この辺りは、時々強い魔力が発生する事が確認されているので。山の上というと……東の別荘地の奥にある家ですか?ここまでは、どうやって?」
「その家で合っている。今日は、封鎖解除と街道の復旧の話をニュースで見て、散歩ついでに道の様子を見に来るつもりで山からおりてきた」

「そうだったんですか。隣の集落は残っている人が多いので復旧が急がれているんですが、この集落に残っているのは、確認できているだけで3軒……おたくを入れると4軒ですね。なので、少し時間がかかるかもしれません」
「そうか……」

「ただ……道路がここまで綺麗になっていると、ちょっと早くなるかもしれませんね。先日調査した時は、集落の中の道はどこも荒れていたんですが、いつの間にこんなに綺麗になったか、分かりますか?」
「さあな。俺達も、山から下りてきたのは久しぶりだ。さっきの嵐で、道に生えていた木に雷が落ちていたようだが、その後は目が眩んで何も見えなかった。気づいたらこの有様だ」

「先ほどの嵐ですか。局地的な嵐でしたが、詳しく教えていただけますか?」
「詳しくと言われても、よく見ていたわけじゃない。丁度集落に来たところで急に空が暗くなった。慌てて妻と元の山道に戻って、嵐が収まるのを待っていたからな、最初の雷以外は、殆ど何がおきたかわからん」

「そうですか。失礼、奥様にも、お話を伺っても?」
「かまわん。
「……夫より詳しい話はできないと思いますが……?」


真面目に仕事する兵士に申し訳ないと思いつつ、はセフィロスに促されて兵士と目を合わせる。


「かまいません。些細な事でも良いので、何か気づいた事はありませんか?」
「空が暗くなってすぐ、彼と元の道へ引き返したのですが……近くに大きな雷が落ちたようで、その後、耳がキーンとして暫く聞こえにくくなりました。最初の雷の時に彼に抱き寄せられてしゃがみ込んだ後は、ずっと目を閉じていたので、詳しい事は何も。……ああ、ですが、少し、焦げ臭さは感じました。雷で燃えた木の匂いだとは思うのですが……。私が教えられるのは、それくらいです」

「見たところ、木が生えていた痕跡はありますが、その燃えている木が見当たりませんね。雷が落ちた木がどうなったか、お二人は見ていないのですね?」
「ええ。嵐が収まったと思ったら、道に生えていた木や草が殆どなくなっていました。ですが、嵐の前には確かに、道に草や木が生えていました。夫と一緒に見ていましたから、間違いないはずです」

「わかりました。ありがとうございます。では、我々はもう少し調査してから戻ります。お二人はこれからどちらへ?」
「流石に、橋を確認したら帰ろうと話していました。本当はどこかでお昼を食べて帰るつもりだったのですが……あと嵐の後では、楽しめそうにありませんから」

「そうですか。それと、残留居住者の調査のため、うちの職員からお話を伺いますので、お二人の名前とお電話番号を教えてください」
「わかりました。では、電話番号は夫のものを……」


この手のやりとりは、セフィロスに丸投げした方が上手くいくので、は確認をするまでもなく差し出された手帳にセフィロスの電話番号を書き込む。
無事善良な地元民になれているだろうかと思いながら兵士と別れると、2人は青空の下をイチャつきながら家へ続く山道へ向かう。
ふと、隣の集落に人が多いなら、車を整備できる人間もいるのでは?と思ったが、それはまた追い追い考える事にした。
記憶が確かなら、隣の集落は酪農家が殆どで、商店も整備屋もなかったはずである。
家畜を見捨てられず、残った家が多かったのだろう。

家へと続く山道に入ったところで、別の飛空艇の音が聞こえて集落の方を振り返ると、新たに2機の小型飛空艇が街道の上に降りてきたところだった。
これはさっさと逃げ帰らなくてはと足を速めた2人は、森の木々で集落が見えなくなったところで、やっと大きく一息ついた。


、流石に今回はやりすぎだ」
「すみません。自覚してます」

「乗った俺も悪かったが……暫くは大人しくするぞ」
「はい。帰ったら、ルーファウスにも連絡しておきましょうか。私たちの服装は、10年近く孤立して生活している人間のものではありませんからね。これまでも年に1度はルーファウスへ物資の運搬をお願いしてましたから、消耗品や衣料品はそれでまかなっていた事にしなければ」

「奴への借りが、どんどんと増えていくな……」
「説明するのが普通に嫌ですねえ……」


仕事に余裕が出来たおかげか、最近よく暇をみてテレビ電話してくるルーファウスに、どう説明しようか。
こちらが説明するより、あちらが情報を得る方が早そうではあるが……。

しかし今回は、もしWROからルーファウスへ問い合わせがあっても、物資の運搬をしていた事実を告げてもらえば良いだけだ。
嘘も小細工も求めていないので、怒られはしないはずである。

ルーファウスが死ぬまでに、こういうヘマをしないよう癖をつけなければと思いながら、2人は家と集落の中間にある山の上へ差し掛かる。
新芽が芽吹くも、まだ葉がない木々の間からは、麓の集落と3機の飛空艇が見えた。
丁度昼時になったので、2人はそこへ敷物を広げ、WROの動きを眺めながら昼食をとる事にした。





普通に散歩できないのかこの夫婦……

2023.12.12 Rika
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