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Illusion sand ある未来の物語 60


「私が参戦するのは良いのですが、時間配分が問題ですね」
「回復さえ怠らなければ、長時間の戦闘でも問題ない。過度な配慮はするな」
「ワシらはからの魔力供給さえあれば、時間の制限などありゃせんからのう……」
の夫は体力がある。時間が短すぎては、逆に成長が遅れよう」
「今はセフィロスがに追いつくのが目標。ならば、まずはがこの地で経た戦闘をなぞるのも手」
「わはははは!ならば、昨日までと同じく、小童を皆で相手してやるだけか!我は退屈になってきたぞ!」
「海ー!海ー!何故この次元の狭間には海がないのだー!我の真の実力が発揮できぬー!!」
「何でも良いが、皆、我の炎で食材を焼くのはやめろ。誰だホタテを焼いたのは!臭くてかなわぬぞ!同じ炎なら、フェニックスもおるではな……待て、逃げるなこの鳥め!」


次元の狭間の、いつのも水晶の大地で、輪になって話し合う達だったが、人数が多すぎるせいか召喚獣の半分くらいが別の事で騒いでいる。
最近とうとうそれに慣れ始めたセフィロスは、と共に彼らを無視し、戦闘時間について考えた。
昨日まではせいぜい8時間程度で終わらせていたのだが、久しぶりの連戦に体が慣れ始めたセフィロスは、早くも余裕を感じている。
それをに伝えた結果、こうして召喚獣達と会議をしているのだが、相変わらずバハムートとリヴァイアサンは騒がしい。
それに加えて、今日はいつも無言のイフリートが、磯臭さをまき散らしながら叫んだり炎を吐いたりして煩かった。

だが、そんな騒がしさに紛れ、ちょっと聞き流せない台詞が聞こえた気がして、セフィロスは顔を上げてオーディンを見、次いでへ視線を向けた。
がこの地で経た戦闘とはどういうものか。
バハムートが言うように、ただ1対多の戦闘なら、改めてオーディンが言う事はないだろう。
何だか嫌な予感がしてを見つめていると、腕を組んでいた彼女は口元に手をやり、セフィロスとオーディンを交互に見た。


「確かに、レベルを追いつかせるなら、私が狭間に残った時の状況を再現するのが、手っ取り早く無駄がないか……」
「……

まさか置き去りにされるのか。
それは流石に強化と関係ないのではと内心焦るセフィロスだったが、まじめに話し合う召喚獣達はなるほどと言った顔で頷いている。
と、その召喚獣達だ。絶対やらないだろう事をやりかねそうで、セフィロスはこの中で一番マトモなシヴァを見つめる。
だが、いつも冷静沈着なはずのシヴァも、他の召喚獣と同じ顔で考え込んでいて、どんどん嫌な予感が強くなっていく。

「昨日までのセフィロスの戦闘時間は8時間ほどで、十分な余力がある……。私が狭間に残った直後は、死にもの狂いだったから、魔物に囲まれたまま2〜3日寝ずに戦ったが……」
、馬鹿な事を考えるな」

「え?ですが……」
「せめて1日だ。丸1日、お前たちと戦う。それが許容できる限度だ。譲歩はしない」


このまま黙っていれば、昔のの行動そのままに、数日寝ずに戦わされてしまいそうで、セフィロスは鬼気迫る顔で達に言い放った。
丸1日でも十分酷いのだが、この頭のおかしい集団にそれより少ない時間を言ったら、冗談として受け取られて3日にされそうだ。
今まさに命がかかっているわけでもないのに、そんな事が出来るか。

そんな長時間、召喚獣と妻に集中攻撃されるなんて地獄、普通は考えたりはしないが、と召喚獣達ならやりかねない。
何せ、2日以上も寝ずに戦うなんて、極めて異常な発言をしたにもかかわらず、はそれよりもセフィロスの様子に驚いた顔をしているのだ。
驚くのはこちらの方だと言いたくなるのを今は堪え、絶対に譲らないという揺らがない決意でを見つめると、彼女はその勢いに飲まれるように小さく頷いた。

その反応に安堵の息を吐いたセフィロスに、は本当に大丈夫だろうかと少し心配になる。
としては、自分の昔の戦闘時間は単なる参考で、実際に同じことをセフィロスに求める気は更々なかった。
召喚獣達だって、そんな戦闘訓練をする気はないし、2日も3日も休まず付き合わされるのは嫌だろう。

昨日までの戦闘時間と、彼の余裕。
それと、昔自分が3日寝ずに倒した敵の数をざっくり考えて、今日からの戦闘時間と内容を考えるつもりだったのだが、まさか彼の方から丸1日と言われるなんて、も召喚獣も想像しなかった。
8時間だって戦闘時間と考えれば十分長いし、それより増やすとしても、せいぜい10時間かそこらではなかろうか。
セフィロスが真面目な人なのは知っていたが、ちょっと度が過ぎるのではないかと、は彼の不調を疑う。
だが、ざっと確認した彼の魔力の流れに異常はなく、素の状態でその発言をした彼には戦慄した。


「小僧、ずいぶんとやる気じゃのう。じゃが、本当に大丈夫かの?途中で泣きべそかくんじゃないかのう?」


呆れ顔で言い放ったラムウをつい睨んだセフィロスだったが、単純すぎる挑発だと思い、口を閉じる。
ラムウは本気で呆れ、心配しているのだが、セフィロスは下手に言い返せば、2〜3日に延長されると思っていた
後ろの方で、バハムートとリヴァイアサンが『良いやる気だ』とか『答えてやる』とか言っているせいで、セフィロスは余計に勘違いして彼らから顔を背けた。

しかし、今度はその背けた視線の先に、何やら別の話題について会議する・シヴァ・オーディンを見つけた。
嫌な予感がして近づいてみれば、3人はセフィロスの休憩時間について話している。

丸一日なんてとんでもない戦闘時間に必用な休憩時間はどれくらいか。
下手に短い時間にすれば、無謀なほどやる気になっているセフィロスが、必要以上に短い時間を言い出す気がして、3人は声を潜めながら話しあっていた。
だがセフィロスは、達に隙を見せれば鬼畜の所業を課されると思い込んでおり、慌てて3人の言葉に注意を向ける。

「うーん……丸1日か……」
「最低でも12時間は必要であろう……」
「回復を怠らねば、そう長く休まずとも問題はない」


妥当なところで、同じく丸1日か1日半くらい休ませれば、心身の回復と睡眠時間は確保できるだろうか。
そう目で会話しながら話し合う3人だったが、彼らが言外にしている内容など知らないセフィロスは、休憩時間まで削られてしまうと焦った。

何故、ちょっと別の事に気を取られているだけで、話が不穏な方向に行きそうになるのか。
その時間配分は誰を……いや、何の生き物を基準に考えているのか、セフィロスにはまったく分からない。

何が回復を怠らねばだ。寝る時間が確保できなければ、倒れるに決まっている。それはもはや強化ではなくただの拷問ではないか。
オーディンは何だかんだで一番話が通じると思っていたが、気のせいだったと思いながらセフィロスは大きなため息をついて3人の注目を集める。

魔力さえあれば無限に動きそうなこの3人組から、どうやって妥当な休憩時間をもぎとるか。
焦る頭で考えたセフィロスだったが、下手な数字は却下される気がするし、最悪、得体のしれない魔法で休憩不要な状態にされる未来さえ想像した。

完全にセフィロスの勘違いなのだが、残念ながらこの召喚獣2体とは、目的のためなら手段も情も無視するタイプの性格をしている。
しかも、オーディンはより魔法に長けているし、シヴァは禁忌みたいな肉体構築魔法をにポンと渡してしまった過去があるのだ。
その上、人を甘やかすような性格ではない。

「休憩は12時間とる。その間に、家に帰って睡眠と食事をとる」
「え……?嘘ですよね?」
「…………好きにするが良いわ」
「賛同できぬ。が、そなたが良いというなら、やってみれば良い」


24時間も戦って、たった12時間の休憩など、正気の沙汰ではない。
聞き間違いではないかと、はシヴァ達と視線を交わすが、2体の反応を見る限り、聞き間違いではなさそうだ。
嘘だろうと思いながらセフィロスに目をやるが、彼は堂々とした態度を崩さず、先ほどの戦闘時間の時同様、譲る気配がない。
どうせすぐ音を上げると判断したシヴァと、あくまでセフィロスの意思を尊重する姿勢のオーディンは、とりあえずやらせてみる事にした。
それまで騒いでいたバハムート達までも、あんまりな予定に怪訝な顔でセフィロスを見ているが、どうやら彼は逆の意味で否定的な視線と受け取ったらしく、眉間に皺を寄せていた。

「貴方がそう仰るなら……仕方ありませんね。お付き合いします」
「ああ。そうしてくれ」


無謀さを悪びれる様子がないセフィロスに、は心配と共に苛立ちを感じた。
自然と表情が険しくなってしまうが、ここは引き際を知る彼を信じることに決め、とりあえず今はその意思を尊重するよう召喚獣達に視線で頼む。
もし、セフィロスが膝をつくか、戦闘継続が難しそうになったら、都度どうするか問えば良い。
意地になってすらいる彼が、それで頷いてくれるかは分からないが、流石に24時間は持たないだろうと考えながらは召喚獣達を配置に散らした。
万が一、本当に24時間耐えてしまった場合は、適当なところで数日の休息を無理やりにでもねじ込むが、きっとそこまでの事態にはならないだろう。

長時間戦闘だ。召喚獣達はセフィロスから適度な距離を取って構えているが、腰を上げたまま付き合う気はないらしく、バレないように水晶に腰掛けたり、飛んでいるふりをして地面に足がついたりしている。
シヴァなど、水晶の柱の上に氷と雪のソファを作って寛ぎ、戦闘は氷の騎士を大量に出して済ませるようだった。
視界を覆うほどに生み出された氷の騎士達のおかげで、目的であった一対多にはなっているのだが、舐めるにもほどがある態度だ。

しかし、どんな態度であっても、やる事はと召喚獣でセフィロスを集中攻撃し続けるだけなのだ。
苛酷な事に代わりはなかった。

早めに冷静になって降参してほしいと思いながら、が氷の騎士達の中に紛れると、始まりを知らせるようにラムウの雷が星空を覆った。










数日前とは桁違いの威力で攻撃をしてくる召喚獣達と、視界を埋め尽くすような氷の騎士達を前に、セフィロスは久しぶりに生命の危機を感じていた。
朦朧とする意識の中、後方から襲い来る騎士達を切り伏せ、同時にアスピルで魔力を奪い取る。
構える間もなく上空から迫るフェニックスの炎に、倒したばかりの騎士の体を盾にしながら、槍を突き出した別の騎士からドレインでHPを奪い、同時に回復魔法を使った。
力が戻った体に、彼は騎士の体を投げ捨てると、襲い来る炎をフェニックスごと二つに切り裂く。
悲鳴も上げずに燃え尽きる不死鳥を見届ける事無く、再び取り囲んでくる騎士たちに意識を戻したセフィロスは、騎士の間を縫うように首元へ突き出されたの剣に慌てて距離を取る。
だが、そこには刃をもって待ち構える騎士達がいて、姿勢を整える間もなくいくつもの刃が前後左右から襲い掛かってきた。

脹脛を刺された痛みに顔を顰める余裕もなく、刀を薙ぎ払って辺りの騎士を氷塊に帰す。
未だ数が減る気配のない氷の騎士達の合間に、の黒髪が注意を逸らすように見え隠れし、瞬きする程の隙を見つけては首を狙ってくる。
かと思えば急に攻撃の手を止め、しかしセフィロスが刀を振るたびに視界の端へ影をちらつかせてくるので、全く気が抜けなかった。

遠くで、シルドラがブレスを吐き出そうとしているのが見える。
これ見よがしな動きに、一瞬後方へ注意を向けかけ、しかしハッとして左を見れば、今まさにラムウの雷が落とされるところだった。

手加減しないにもほどがある。
に参戦してもらった途端、別の生き物のように鋭くなった牙をむいてくる召喚獣達に、セフィロスは否応なしに自分が強化されていくのを感じる。
何度も自分のレベルが上がっているのを感じたが、なるほど、確かにが言っていたように、途中から確認するのが面倒になった。

時折不覚をとって地に膝をつく事があるのだが、そうすると必ずどこからともなくが現れ、労わるように腕に触れ、慰めるように頬や額に口づけながら回復してくれた。
その度に、もう降参するかと問われるのだが、セフィロスはつい意地になって継続を選んでしまい、それを聞いたに大型の召喚獣の方へ投げ飛ばされる。
一度、姿勢を崩したところで横から誰かの顔が近づくのを感じ、てっきりかと思って目をやったら、唇を突き出したラムウだった事もあった。

その時、セフィロスは、ここにいる全員を、必ず地に這いつくばらせてやると決めた。
もちろん、回復だけでなく口づける余裕までみせてくるも含めてである。

思い出して奥歯を噛み締めた途端、再び騎士の間から突き出された剣が首の皮を掠めていく。
一瞬セフィロスの気が散っていたのを、咎めているのだろう。
けれど、それも仕方がない事だ。
何せ、この戦闘を始めてから、感覚では6時間は経っている。
何度も追いつめられているから長く感じるのかもしれないが、それでもそう大きな誤差は無いはずだ。

いい加減休憩したいと思うのだが、休みたければ戦いながら休むしかない。
どうしても途中で休憩したければ、セーブポイントに入るという手もあるが、そもそもそのセーブポイントがどこなのか知らない。あるのかも分からない。

必ず探し出してやると意地になったのは最初だけで、斬っても斬っても後から生まれてくる氷の騎士に押され、セフィロスはほとんどその場から動けなかった。
先日までは、普通の氷程度の固さだった氷の騎士は、今日はやたら硬くなっている上にから補助魔法をこれでもかとかけられている。
それでも何とか道を切り開いて進もうとすれば、目の前にが現れて剣を向けられ、相手をしているうちに元の位置まで下げられた。
出来たはずの道も、また氷の騎士で塞がれ、そうするとは仕事を終えたと言わんばかりに騎士たちの中へ隠れてしまうのだ。

それでも、からすれば、時間が決められていて、膝をついても誰かが回復してくれるなら、微温湯同然なのかもしれない。
やっぱりこの女は頭がおかしいと思いながら、セフィロスは傍にいた氷の騎士の首を掴み、シルドラに向けて投げつける。
視界の端に見えた黒髪を無視し、統率された動きで剣を振る騎士達を薙ぎ払った彼は、痛んだ脹脛の傷に回復魔法をかけながら、首を狙う剣を弾いた。







「4日でレベル430ですか。やはり貴方は、成長が早いですね」
「あれだけ戦えば嫌でもそうなる」

「伸び悩むこともなくここまで強くなるのですから、十分すぎるほどです。普通は、途中で何度も壁にぶつかるものでしょう?」
「その壁に構う余裕がなかったとは思わないのか?」

「数時間で越えられるなら、壁ではなくて階段では?」
「……そうだな」

何とか生き延びてもぎ取った今日の休憩時間。
異常な戦闘をさせておきながら、苦笑いだけで会話するこの女には何を言っても無駄だと悟り、セフィロスは泡だらけの頭を垂れてため息をつく。
そんな小さな動きですら、体が鉛のように重く感じくらい労れているのに、風呂から出て食事と睡眠をとればまた次元の狭間に連れていかれるのだ。
これは何の地獄だろうと思うものの、レベルが上がって強くなっているのは事実なので、その点には文句はない。

だが、他の部分に対する不満がいかんせん多すぎる。
24時間戦い、12時間の休憩をして、また24時間戦うというサイクルなのだが、ソルジャー時代でもこんな酷いスケジュールはウータイ戦争中の1度か2度だった。
そもそも、1日が24時間なのに、36時間1サイクルなのがまずおかしい。
おかげで戦いながら休むという謎の技術を習得できたが、全く嬉しいと思わないし、それで気を抜きすぎるとに背中を蹴り飛ばされる。

この数日でセフィロスがの愛情を疑った回数は、両手では足りない。

毎日疲れ切って指一本動かない状態で帰ってくるのだが、幸い食事も風呂もが甲斐甲斐しく世話をしてくれるので、セフィロスはトイレ以外は殆ど自分で動かなくて済んでいる。
風呂に入っている今も、彼は椅子に座って黙っているだけで、後はが頭も体も洗い、湯船に入るのも手を貸してくれた。

鏡に映る疲れ切った自分の顔を眺め、その後ろでセフィロスの泡だらけの髪を丁寧に櫛づけているを見る。
丈が短い服からは彼女の腿が見え、濡れた服が張り付いて上半身と下着が透けているのだが、疲れすぎて全く下心が湧いてこない。
一緒に風呂に入るのは嫌がるし、セフィロスの風呂上がりの全裸を見ればいまだに鼻血を出すくせに、世話をするとなると全く羞恥を見せないのは何故なのか。
そんな事を少し呆けた頭で考えるのがせいぜいだった。

声をかけられて目を閉じれば、髪と頭皮についた泡を丁寧に流される。
そのままうとうとしかけたセフィロスだったが、不意になった腹の虫に、食事がまだだった事を思い出して無理やり目を開けた。
せめて頭を洗い終わるまでは起きていなければと耐えた後は、に肩を借りて湯船に入り、その腕に支えられながら体を温める。
その時間が一番眠気が強くなるのだが、たとえ寝落ちてもが全て対処してベッドで目覚めることになるので、セフィロスは食事を後回しにして意識を手放した。






「必要経費……か」

今日もボロボロになって着用不可能になったセフィロスの服に、は小さく呟いて溜め息を飲み込む。
先日ジュノンで丈夫な服を買ってきたばかりだが、1日に上下1着ずつ駄目になるので、箪笥の中は早くも心もとなくなってきた。
ちらりとベッドに目をやれば、セフィロスは呼吸しているのかすら怪しい程深く眠り込んでいた。

次元の狭間での戦闘は、途中でセフィロスが完全に戦闘不能になって中断する事を想定していたのだが、予想に反して彼は毎日24時間耐え抜いていた。
普通は回復が間に合わなくなって終わるだろうに、何故途中で倒れない上に成長までしているのか。
彼が膝をつくたび、は中断するか聞いているのだが、どう見ても満身創痍なのに絶対降参しようとしない。
仕方なく回復して、仕切り直しのために別の召喚獣がいる方へ場所を移動させているのだが、意地になるにも限度がある。
まさか、命の危機でもないのに本当に丸1日戦い続けられるなんて想像していなかったし、1度も倒れないなんて予想外だ。

既に24時間戦闘を3回ほどしているのだが、今日こそ倒れるだろうと思っていたのに、彼は耐え抜いた。
も召喚獣も、初日の時点でセフィロスの常人離れした戦闘能力にははドン引いていたし、今や彼らにとってよりセフィロスの方がヤバい奴として認識されている。
自分も相当だと思っていただったが、まさかセフィロスがここまでヤバい人だったとは予想外である。
本人のやる気を削ぎたくはないので口にはしないが、あまりの成長速度には恐怖すら覚えたし、召喚獣達もちょっと恐がっていた。

連日の長時間戦闘を見事耐えきってはいるが、流石に今日から2〜3日はセフィロスが何と言おうと休ませるつもりだった。
毎日、に背負われるようにして帰宅する彼にそれを言えば、きっと無理をして自分を追い込みそうなので、実際の休みになるまで黙っていようと満場一致で決まっている。
召喚獣達からは、初日から時間が長すぎると影で不満が出ていたし、フェニックスなんて今日は一発食らって倒れたらそのまま帰って戻ってこなかった。
ラムウはどこから手に入れたのか自動で雷が出る杖を地面に刺して殆ど戦っているフリをしていたし、イフリートなど『ホタテの匂いがとれない』などと言って欠席した。

このままでは、セフィロスが考えを変えるより先に、召喚獣達が戦闘を拒絶しそうだ。
彼は不満をもつかもしれないが、そのままにしてはおけないので、は明日からの休みの間でセフィロスを説得しなければならない。
物音を立てないようベッドに腰を下ろしたは、どうか喧嘩にはならないようにと願いながら、眠るセフィロスの額に口づけを落とした。








今回は一度書いてから、加筆修正したんですが、その結果長くなりました。

2023.06.30 Rika
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