次話 ・ 前話 ・ 小説目次 | ||
浮かぶ月は、その光さえ香るようだった。 虫の音を耳の片隅に、瞼の裏に透ける朧な光を味わって、頬に口づけていく風の心地よさに時を任せる。 あと何度この夜を過ごせるかと、己の老いた手に目をやったルーファウスは、そこにあるツヤツヤピチピチの若い手に、小さく笑みを浮かべた。 最近感じていた加齢による腰や膝の痛みも、今は嘘のように消え、それどころか今から軽く辺りを走ってこられるくらいには体の調子が良い。 夕方、ジェノバの肉片に対するせめてもの礼だと、はルーファウスの臓器の不調を治してくれた。 予想外の礼に、とうとうこの女も行くところまで行ったな…と、余裕で笑っていたのが悪かったのだろうか。 『む?あ、間違……』 そんなの不穏な声に片眉を上げたルーファウスに、彼女はたどたどしく視線を逸らした。 人の体に何をしてくれたのか。 疑いの眼差しを向けたルーファウスだったが、しかし体はまるで青年の頃のように軽く力がみなぎってくる。 が何をやらかしたのか予想できたルーファウスは、皺が消えた自分の手を見つめ、その青く澄んだ瞳にを映しながら大きなため息をついた。 「……」 『すまない。本当、言い訳のしようもないが、ルーファウスの体が予想以上に健康で……こう……』 「使った魔力が行き場を失い、肉体を活性化させた結果、若返りという結果になった…か」 『面目ない。本当、悪気ははなくて……ええ……』 50才前後の外見から20代まで若返ったルーファウスは今後の事を考えてつい表情を険しくしてしまう。 背後でレノが動く気配がして目をやれば、巻き添えをくらったのか中途半端に10歳ほど若返ったレノが、驚いた顔でルーファウスを見ていた。 「半ば隠居している身となれば、どうとでも誤魔化しは効く。だが、、これは他の人間達に知られる事は避けねばならい。確実に、厄介な事になるだろう」 『あ、はい。もっと、ちゃんと加減できるように頑張ります』 「余計な事は覚えるな。もうやらないと約束してくれればいい」 『はい。すみません』 何十年も経って、ルーファウスは今更セフィロスの苦労が理解出来た気がした。 Illusion sand ある未来の物語 03 『ではセフィロス、私はこれから少しの間、体の砂を回収しに留守にしますが、あまりはしゃぎすぎないで下さいね?』 肉体復活が完了するまでという約束でジェノバ細胞をルーファウスに預けたは、ライフストリームに戻ると早速セフィロスに報告して行き先を考える。 告げる間にも、何かしようとライフストリームに意識を伸ばす彼を抑え、なびく銀髪を暇つぶしに三つ編みにしていく。 すぐにでも復活できれば良かったが、まだ体を構成する砂が足りない。 一度世界中を回らなければならないが、血肉の体を持たない彼女だ。 砂粒となり、風とともに駆ければ、生身の人間よりは遙かに早く事を終えられるだろう。 『寂しくなったら、呼んで下さいね。私の声は届かなくても、貴方の声は、私には聞こえますから』 もうずっと昔、古い屋敷の地下で呼ばれて以来、一度も名を呼んでくれない彼にそう声をかけて、はその頬に口付ける。 ゆるゆると解けていく彼の髪を横目に眺め、この不毛さに僅かに目を伏せた彼女は、自分を映さない青緑の瞳を一度見つめると、その場を離れた。 物言いたげに纏わり付くライフストリームを無視して、地上へと一直線に向かっていく。 感覚を広げ、自身の魔力の残照を持つ砂を探しながら駆ければ、その視線は一気に星空へと変わった。 煌々と照らす月の下、敷き詰められた雲が流れていく。 眼下に広がる雲海の隙間から、夜闇に沈む地上を見下ろして、小さく見える木々が風に大きく揺れる様を眺めた。 『いい風だ。これは捗るな』 荒れた海原のように蠢く雲に視線を戻し、緩やかに微笑んだ彼女は、その体を砂に変えると風に溶ける。 大きく手を広げて感覚を伸ばし、地上の端で僅かに引っかかった自身の魔力を引き寄せる。 風に乗って帰ってきた砂の一粒を迎え入れながら、朧に形作った体を風の中に横たえると、地上に背を向け星空を仰いだ。 流れ去っていく星々を眺め、この景色をセフィロスに見せられるのはいつになるだろうと考える。 水面に浮かぶような心地よさに身を任せながら、しかし普通の肉体のセフィロスにとって、この高速空中遊泳は恐怖体験かもしれないと思い至り、少し残念だった。 『ああ、そもそもあの人は、空は飛べなかったか……』 魔法をいくつか組み合わせれば、何とかいけるかもしれないと考えていると、視界の端に星とは違う輝きが見える。 馴染みのある魔力に視線をやると、少し離れた雲の上を駆ける白銀の輝きがあった。 見る間に形を作ったそれは、氷の天馬に引かれる豪奢な馬車と、手綱を握る銀の甲冑を纏う騎士、そして風にショールを靡かせながら悠然と氷の馬車に腰掛けるシヴァだった。 『この辺りを飛ぶなんて珍しいな、シヴァ』 『最近はこの辺りに集まる事が多いのだ。それに、そなたの魔力を感じたのでな。そら、他の者共も来たようだ』 シヴァに顎で示された方へ目をやると、紫電を蔦のように編み上げた椅子に腰掛けて飛ぶラムウと、流星のように火の粉を散らしながら空を駆けるイフリートがいた。 いくら地上からは雲で見えないとはいえ、万が一目撃されたら大騒ぎではないか。 空の散歩中、召喚獣の1体2体に会うことは稀にあったが、3体以上ともなると初めてである。 まさか何か騒動の前兆だろうかと嫌な予感がしただったが、それを肯定するように、彼方の雲を突き破って自称空の覇者バハムートがその巨体を現わす。 『羽根付きトカゲまでいるとは……』 『何だと!、未だに我をそのように呼ぶか!?今日という今日こそその身に……ゲボァ!!』 トカゲ呼ばわりに怒り、口にフレアを溜め始めたバハムートは、言葉を言い終える前に真下から槍を突き上げて現れたオーディンに腹を割かれ、光の粒になって消えた。 青い炎の鬣を靡かせるスレイプニルに跨がったオーディンは、何事もなかったように達の方へ向かってくる。 『揃っているとは珍しい。、何かあったのか?』 『いや、私は特に……。それよりオーディン、今のは流石にバハムートが可哀想に思えたんだが……奴と何かあったのか?』 『……?奴と何かあるほどの交流はない』 『では、何故攻撃を?』 『上にいて、邪魔だっただけだ』 『…………そっか』 『あの巨体のせいで、雲から出られなかった』 『それは邪魔だな』 あまりにも情け容赦なさすぎるオーディンに、はもちろん、シヴァや他の召喚獣も唖然として、消えていったバハムートに同情する。 確かにデカイ図体で吠え上げられるのは五月蠅いし、地上の人間達にいらぬ恐怖を与えるので、もとっとと魔力を吸い取って掌サイズにしてやろうとは思った。 だが、流石に道の邪魔だからといって、有無を言わさず一突きで仕留めようとは考えない。 今度バハムートに会ったら、もう少し優しくしてやろうか……。 そんな事を考える彼女の耳に、どこかで悲しげに鳴くバハムートの声が聞こえた気がした。 『それで、揃って出てきて……何かあるのか?』 『ホッホッホ。そう構えんでも大丈夫じゃわい。ワシらは皆、夜の散歩に出ただけじゃ』 『そなた、いよいよあの男を蘇らせるのだろう?なれば、しばらくの間、共に空を楽しむ事はでぬであろうからな』 『あの小僧は、我とは特に会いたくなかろうよ……』 笑顔で答えるラムウとシヴァに笑みを返していると、少し離れた所で飛ぶイフリートがボソリとこぼす。 とは大分前に和解したイフリートだったが、顔を合わせることは出来ても、後ろめたさまでは無くならない。 シヴァは2人の問題と思いつつも、和解した事自体が納得出来ておらず、イフリートとは目も合わせないほどである。 今日も、たまたまイフリートがラムウの傍にいたから視界に入れただけで、それ以降は存在を完全に無視していた。 イフリートもシヴァが怒り続けている理由を理解しているので、彼女に話しかける事はしない。 間に挟まれるラムウは、昔からの事なので気にした様子は無く、オーディンに到ってはそもそも自分以外に興味がなかった。 『よ、これを……』 馬を寄せてきたオーディンが、腰に下げた革袋から小さな巾着を出す。 そこから感じる自分の魔力に、は軽く目を見開き、両手で受け取るときつく結ばれていた紐を解いた。 オーディンが何か魔法をかけていたのか、袋には見た目以上の砂が入っている。 ふわりと広がる象牙色の砂に魔力を繋げ、自身に取り込むと、太腿の途中までしか出来ていなかった足のうち、右足が足首まで蘇った。 予想外の回復に、は驚き、オーディンを見る。 いくら魔力に物をいわせて回収出来るとはいえ、やっているのは地道な作業だ。 最悪、自身の肉体の復活だけで1年以上かかる事も視野にいれていたは思わぬ収穫に顔を綻ばせる。 『こんなに……大変だっただろう?ありがとう、オーディン』 『お前が死んだ日、たまたま何かに使えるかと回収していただけだ。まだあの森にいくらか残っている。残りは、自分で見つけるがいい』 こいつ人の遺体である砂を魔術の材料にしようとしていたな……。 3体と1人の冷たい視線を物ともせず、オーディンはスレイプニルの首を撫でる。 いつの間にか現れ、ラムウの膝に腰掛けていたシルフの鼻歌につられて歌い出したオーディンだったが、その場に温かい目で見る者はいなかった。 途切れた雲に視線を下ろすと、深い闇の上辺に月明かりを揺らめかせる海があった。 深海から浮かび上がる巨大な影に、珍しい奴が出てきたと思っていると、大きな飛沫と共にリヴァイアサンが空に飛び出してくる。 海上から上空へ一気に昇ってきたリヴァイアサンは、軽く身を震わせて水滴を飛ばしたが、巨体で行われたそれは一同をびしょ濡れにした。 シヴァから飛沫の形をした氷柱が生え、ラムウは彼方此方に火花を散らして感電したシルフが悲鳴を上げる。 甲冑の中に水が入ったオーディンは盛大にむせて鐙からずり落ち、イフリートからは海水を蒸発させた磯臭さが漂っていた。 咄嗟に体を砂に変えたは、すぐに肉体を構築しなおしたが、全身から感じる海水の臭いに顔を顰める。 『フハハハハハ!久しいな小娘よ!この大海の覇者リヴァイアサンが顔を見に来てやったぞ!光栄に思うが良い!』 睨み付ける一同に気付かず、耳が痛くなるような大声で笑うリヴァイアサンに、は一度蒲焼きにしてやるべきだろうかと真剣に考えた。 いち早く攻撃を始めたシヴァの氷塊がリヴァイアサンの腹に直撃したのを皮切りに、ラムウの雷が尾を焦がし、イフリートの炎が蛇のように巨体に絡みつく。 珍しく怒ったシルフが起こした突風を食らって錐揉み回転したリヴァイアサンの横っ面に、オーディンのグンニグルが突き刺さった。 袋叩きに怒ったリヴァイアサンは、他の召喚獣と喧嘩を始めた。 飛んでくる氷塊や雷を避けながら、はもう今日は帰ろうかと考える。 出来れば夜明けを見てから帰りたかったと思いながら、本日最後の砂集めに魔力を広げた彼女は、ふと、近くにある大量の砂の反応に気づいた。 風に乗るというには集まりすぎているそれは、騒がしくやりあっている召喚獣達から。 今まさに5体の召喚獣から袋叩きにされている、リヴァイアサンの腹から感じる。 あの渦中に入るのは面倒そうで嫌だったが、砂を持っているとなれば話は別だ。 へそを曲げて帰られる前にと、は慌ててリヴァイアサンの前に立ちふさがった。 『ぬ!?おお、小娘!こやつらを何とかしろ!五月蠅くてかなわん!』 『自業自得だ。それより青ウナギ、お前、私の砂を食ったのか?』 『……そ、そんなわけなかろう?何を言っているのだ?』 『腹の中に砂の魔力がある。しらばっくれても無駄だ』 『いや、何の事かわからぬぞ?それにほら、この体の大きさとて、我の隠された実力の一部であって……いや、それは別の話だ。忘れるのだ』 『吐かせて欲しいか?裂いて欲しいか?』 シヴァやイフリートの攻撃をボコボコ食らいながら、目を泳がせて語るりヴァイアサンに、は魔力を練って氷の剣を作る。 冷気を放つ剣の切っ先を向けられ、青い顔を更に青くしたリヴァイアサンは助けを求めて周りを見るが、周りにいるのは助け船どころか、容赦なく攻撃してくる召喚獣だけである。 勝ち目無しと早々に諦めたリヴァイアサンは、大人しく腹を上に向けて降参の意を示した。 『すまなかった。よく風に運ばれてくるゆえ、他の魔物に奪われる前にと取り込んでおったのだ。誘惑に負けて、つい腹に入れて使っておった』 『分かってくれたなら良い。返してもらえるか?』 『そ、それはかまわぬが……この砂、なかなか良い魔力が湧くのだ。名残惜しい」 『砂を経由して私の魔力を吸い取っているだけだ。人の力で商売をしようとするな。大海の覇者なんだろう?』 『ちょ、ちょっとぐらい分けてくれても……。それにな?今この力を手放したら、我はこやつらの攻撃であっという間に海に帰ってしまうのだぞ?』 『裂くか……』 『待て待て待て待て!!出す!出すから攻撃しないでくれ!お前の一撃は洒落にならん!』 『初めからそう言え』 が痺れを切らしかけたところで、リヴァイアサンは慌てて降参してきた。 空気を読んで攻撃をやめてくれた他の召喚獣に、ホッと息を吐いた青い巨大ウナギこと大海の覇者は、ボコボコに腫れてグンニグルが頬に突き刺さったままの顔をキリリと引き締める。 『せめてもの形見にと我が身に宿していたが、返す時が来たようだな、小娘よ。……あ痛っ』 何十年も腹にため込んでおいて何を言うのかこの強欲ウナギは。 無言でそう語るの視線に、一瞬目を泳がせたリヴァイアサンは、言葉の途中で乱暴にグンニグルを回収してきたオーディンを一瞬睨むが、小さく咳払いすると居住まいを正す。 『今こそ、古き盟約に……』 『とっとと返せ。裂くぞ』 『おぬしはせっかちすぎる!仕方ないのう。では、そなたの力にして肉体、受け取れ、よ!』 『ん?お前、私の名前……』 覚えていたのか、と言おうとした瞬間、大きく口を開けて腹を震わせたリヴァイアサンに、は嫌な予感がする。 自分を大海の覇者などと言っているくせに、嘘だろうと思った瞬間、リヴァイアサンの喉の奥から象牙色の輝きを孕んだ海水が濁流となって溢れ出てきた。 『ヴォォェェェェェェ』 脳が理解を拒んでいる間に、はリヴァイアサンの吐き出した濁流に呑み込まれた。 押し寄せる潮の香りに、脳裏の片隅で、胃液で無かった事だけはよかったと思う。 残る思考で、懇願を無視して裂いてやれば良かったと、自分の甘さを悔やんだ。 考えながら、は吐き出された膨大な砂から自身の砂を探し、魔力でつなぎ止めていく。 けれど、勢いに飲まれた体は水と共に海面へと落とされ、大きな飛沫を上げて海底へ叩き付けられた。 3枚におろそう。 オーディンに斬鉄剣を借りて、あの青ウナギを生きたまま3枚におろし、砂漠で広げて干物にしよう。 リヴァイアサンに対する純粋な怒りの炎を燃やしている間に、の右足はつま先まで蘇り、残る左足も膝まで復活した。 後はオーディンが言っていた、ミッドガル付近の森と、世界を軽く一度巡れば、ほぼ全身が復活するだろう。 幸先は良い。 だが今は、沸々とした怒りが心を満たし、手放しでは喜べなかった。 海中に落とされても手放さなかった氷の剣が、辺りの水温を下げる。 ゆるりと水面を見上げたは、遙か上空で再びシヴァ達から袋叩きにされているリヴァイアサンに狙いを定めると、怒りに漏れ出る魔力を練り上げ天高く駆け上がる。 雲の上でゲラゲラ笑いながらイフリートに炙り焼きされていた青ウナギは、の砂を失ったからか、先ほどの3分の1に体が縮んでいた。 だが、大きさなど今は些細な問題だ。 耳障りな笑い声に表情を消したは、イフリートの炎を突き破り、ギョッとした顔をするリヴァイアサンの鼻っ柱めがけて剣を振り上げる。 破裂音を立てて骨を裂いた剣は鋭い牙をも粉砕し顎の骨を裂いたところで止まる。 だが、氷の剣から放たれた剣圧は鋭い氷の刃となり、リヴァイアサンの体を腹の下まで裂いて凍り付かせた。 『まだ息があるな』 死んだフリで誤魔化しつつ回復しようとしていたリヴァイアサンに気づくと、は再び剣を振るう。 咽笛を切り裂き、痛みに跳ねて反撃しようとする尾を切り落とすと、悠然と広げられたままの翼のような鰭を灼熱の魔法で焼き切った。 悲鳴の代わりに潮水を吐き出してのたうちまわるリヴァイアサンは、あと数秒で本来ある次元へと帰るだろう。 けれどは、その僅かな間すら手を休める気は無く、グラビガでもって天上を泳いでいた大海の覇者を海底へと叩き落とした。 『……なんてて事があったんですよ。信じられますか?いくら海水とはいえ気持ち悪くて、帰りにミディールの温泉で体を洗ってきてしまいましたよ。あの青ウナギ、次に会ったらタタキにしてやる!』 空の散歩を切り上げ、ミッドガル付近の森で砂を回収してきたは、セフィロスの横に腰をおろし、怒り収まらぬ様子で愚痴る。 もはやセフィロスが聞いているかどうかなど関係ない。 温泉で砂の一粒一粒綺麗に洗ってきたが、まだ体が磯臭い気がした。 『ですが、一応奴のおかげで予想以上の砂は回収出来ましたね。体は殆ど戻りましたし、2〜3日世界を廻って、ざっと残りを回収してきます。そしたら、肉の教育をして、貴方に蘇ってもらいましょうか』 張りぼてのように外側だけ作るのではなく、内側まで形作る事が出来た両足のつま先に、は頬を緩めながら言う。 随分時間がかかったように思うが、実際蘇ると決めて本腰を入れてからは、あっという間だった気がする。半分ぐらい寝て過ごしていたので当たり前だが……。 しかし、ルーファウス達には砂やジェノバ細胞集めで大分世話になったと、は改めて感謝する。 彼らに回収を頼んでいたのは、の砂とジェノバ細胞を使った魔力増幅装置だった。 制作者はジュノンの闇医者で、魔力について調べていた際に偶然見つけたの砂と、ソルジャーの死体から集めたジェノバ細胞を使っていたという。 何の科学技術も無く、魔術的な細工もないというのに、一般人程度の力量の人間が上級召喚獣を最強形態で召還し使役できてしまうのだがら、その威力は恐るべきだろう。 真っ先に狙われたにも関わらず、ルーファウスは惨事が起きる前に回収出来たのは幸いだったと言っていた。 過去の反省からすっかり丸くなった彼を微笑ましく思うと同時に、ありがた迷惑な若返り以外の礼をしなければと、は思考を始める。 『、聞こえているか?一つ聞かせてほしい事がある』 『ん?』 珍しく連日で呼んできたルーファウスの声に、は顔を上げて耳を傾ける。 どこか固い彼の声に、何か不測の事態だろうかと少し構えていると、ルーファウスはの返事や到着を待たずに言葉を続けた。 『今日の未明、ジュノン沖の上空で激しい戦闘を行う召喚獣の群れが目撃された。その戦闘で起きた波で付近の漁村に被害……』 ルーファウスが言葉を言い終える前に、は彼の足下に土下座しながら現れた。 |
||
セフィロス夢なのにセフィロス全然出てこないおぉぉぉん!! うぁぁぁぁ!セフィロスとラブラブ書きたいラブラブ書きたいラブラブ書きたいぬぉぉぉぉぉん! 2021.09.14 Rika |
||
次話 ・ 前話 ・ 小説目次 |